2007/03/29(木) 07:22 - StarDust 組 Papillon (男)
-ENISHI 縁 -
Temple・・Gは入国時そう説明していた
Gは神棚を大事そうにクーラーボックスに収め、厳重にテーピングし自国まで持ちこんだばかりだった。
数日前、はるか北にある小島で、普○間神宮の奥にある暗い鍾乳洞に案内され、時代がかった祭壇のようなものに向かっていた。肌の色が明らかに違っている二人の人間が横にいる。彼らを見よう見まねで手を合わせ目を閉じた、ちょうどその時、偶然にも太鼓の音が洞窟中に響き渡る。
背筋からビリっと何かが走り、訳も無く涙がこみ上げてきた瞬間だった 幼い頃、母親に連れて行ってもらった教会でも、ギャンブルに明け暮れて荒れていたあの頃、自らの意思で行った教会でもそんなことはおこらなかった。
ジーンズとノースリーブとサングラスにブロンドの髪・・・Jが迎えに来ている
Gは神棚を早くまつりたくて気がせっていた 慌ただしくスーツケースをトランクに乱暴に投げ込み、オフィスへ急行する
「サカキ・・無いよ どうすればいい?」神棚をプレゼントしてくれた男に尋ねる
「緑の生き生きとした葉っぱであればなんでもいいんだよ・・・一緒に探そう」
2礼2拍1礼・・・・不ぞろいの乾燥した音が熱帯植物園のそばにあるオフィスに響き渡り、いつも遊びに来ている鳥たちが驚いている
「朝、夕やるといい・・・強制してはいけないよ 気持ちよく向かい合えるときに」
「顔を洗いたくなって洗うと気持ちがいいように・・・なぜか・・・洗いたくなるんだよ」
「わかった なにを祈ればいい?」
「神は人格者?ではない・・・分け隔てはしないはずだ、不器用でも欠点の多い人間でも
欲深い人間であっても、自らが生を与えたからには、夢中で一生懸命やっている人間が好きなはずだ・・・怠け者を嫌うはずだ・・・友だちと接するように、時には愚痴をぶつけ、喜び、悲しみをぶつけるのさ 簡単だ・・・・俺は今まで、こういうことをまったく信じない人生だったが・・今はそうしている 一年にも満たないがね 神を励ますときもある、こういうふうに・・「女神よ!もっと頑張ってくれよ!もうどうしようもない・・・貴女は何をお望みですか? 奈落の底にいる人間に、これ以上何をがんばれと?」
陽が傾きかけたので、美しい景色の中心にある、「場所」を求めて4人は北へ車を走らすと、1時間ほど経過したのかもしれない・・ビーチがようやく姿を現しだした 心地よい海風がザワザワと熱帯樹林を吹き抜ける
「休憩しよう あのパブで ビールでも飲もうぜ」
「これから、寝るとき以外は一緒だね?仕事も遊びも・・どこへ行くにも・・何をするにも・・・」
「ああ・・・同じものを食べ、同じものを出して、同じことをして喜び、驚き、あるいは苦しみ悲しむことになる。 自分の欠点、嫌な面が全て出てくる 逆に愛すべき面も・・大喧嘩もするだろう・・嬉しい酒、悲しい酒も一緒に飲むことになる」
「ところで・・・Jよ 貴女は女性だけど・・・ついていけるか?」
「問題ないわ」
「俺たち・・・この先・・・どうなるんだろう?」
「さあ 先のことは誰にもわからないし・・決められないさ・・・もし、決めることができるとしたら・・・きっと・・・あのお方だけのような気がする・・・」
「不思議だね 今までなかったよ・・家族以上だよ・・これ?日本語でなんて言うんだ?」
「きっと・・・ENISHI 縁 だよ・・・」
ビーチで熱帯魚を見つけよう
不思議な熱帯魚を探し出そう
Fine